久遠の絆
「セイアさん。イーファンさんも、セイアさんを守れなかったことを後悔しながら生きてきたんです」
『イーファン?』
セイアの頬に、ぽっと赤みが差した。
「はい。何故あの時守ってやれなかったのかと。勇気を出して、踏み込んでいれば良かったと」
『イーファン。怒っているんだろう?他の男に体を許したわらわのことを』
「いいえ、ちっとも。むしろ気付けなかった自分を怒っているみたいだった」
『イーファン……』
「そうだ!セイアさん、イーファンさんに会いに行こう!」
『無理だ』
「無理じゃないよ。きっと出来る」
『いいや。わらわはただ、瑠璃の巫女であるそなたと話したかっただけじゃ。イーファンには会わぬ』
「どうして?」
『会わせる顔がないからに決まっておろう』
「駄目だよ。会わなきゃ。また後悔するよ。後悔しながら、またここで永遠の時を過ごすの?」
『わらわは……穢れておる。イーファンには会えぬ』
「穢れてなんかない!セイアさんは綺麗だって言ってるでしょ。全部ヘラルドが悪い。あいつが悪いんだから。セイアさんは綺麗なままだよ」
『そなたはどう思っているのだ?』
「え?」
『父親に犯された自分を、汚いと。穢れていると。そう思っているではないか』
「わ、わたしは……」
『わらわとそなたは同じじゃ。それで、よう穢れてないと申せたな』
セイアはここで話は終わりとばかりに離れて行く。
「待って、セイアさん!」
『事実は一生消えぬ。死して、なお……』
「じゃあ、イーファンさんは?イーファンさんはどうなるの?また、これからも、セイアさんを死なせてしまったことを後悔しながら生きてかなきゃいけないの?その方が辛いよ。セイアさんはここで哀しんでりゃいいけど。イーファンさんはいつ果てるとも知れない命を生きてくんだ。その方が苦しいよ」
蘭の涙腺はもはや我慢の限界だった。