久遠の絆
先程までセイアがいた辺りに、シェイルナータが現れる。


「ふん。意外に暢気なんだね。あんたたち」


宙に浮きながら面白くなさそうに言うと、シェイルナータは石畳の床に降り立った。


皆が蘭を守るように立ち塞がる。


「おや、イーファンがいないね」


「イーファンさんは、セイアさんと」


「……そうかい。逝ったかい」


シェイルナータの顔に一瞬感傷めいた表情が浮かぶのを、蘭は見た。


(え?)


だが、その表情はすぐに消えてしまった。


(何だったんだろう、今の)


蘭が疑問に思ったのも束の間、シェイルナータがゆっくりと右手を上げた。


「一度解けた緊張を取り戻すのは難しいがね。やれるかい?」


彼女の右手がぼんやり光る。


シェイルナータはその手をぴたりと蘭に合わせた。。


「さあ、続きだよ」


右手から放たれた光の帯が、蘭のほうへ向かって来た。


その光の前に、シド、マト、そしてカイルが立つ。


「死に損ないが!終わりだよ!」


シェイルナータは楽しげに言い放った。


シェイルナータはその美しい顔を醜く歪め、嘲笑を浮かべていた。



光の帯がぶつかる!



その刹那、金と銀の光が全員を包み込んだ。


「あ!」


その障壁に光の帯がぶつかった瞬間、強い衝撃と共に光の帯は四方に散った。


ドーンという爆音と共に、壁や天井の一部が崩れ落ちる。


「ほう。やるね」


感心したように言って、シェイルナータは一歩近付いた。


皆身構える。


「守護者の指輪の力。使いこなせるかい?」


「……」


「イーファンがいなくなった今、その力の使い道を教えられるのは、ナイルターシャだけ。だが、そのナイルターシャは我が手の内だ」


「くっ……」


「ナイルターシャさまはどこに?!」


「あの中に」


そう言うと、シェイルナータは広間の奥にある、もう一つの扉を指差した。


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