100回の好きの行方
 不気味だったのは、尚志経由で一連の出来事を聞いた千華が、怒らなかったことだった。

 てっきり、三人で飲んだときの罵倒されるかと思っていたが、こちらも淡々としていた。

『はっきりそう伝えたならいいんじゃない?麻嘉も次に進めるし。』

そんなことを話してた。

 だが、後になればなるほどその言葉が引っ掛かる。ー次に進む?ーその言葉が何度もリピートされ、正直面白くない感情に捕らわれた。

*******

「嵜村センパイ今日のご飯何にしますか?俺、和食がいいです。」

「真壁、俺には聞かないわけ?」

「だっていつもイタリアンになるじゃないですか!」

 横でしゃべる享と尚志を見ながら、"なんでもいいよ"と答えながらロビーのエントランスを通り、入り口に向かうと、ちょうど制服姿の麻嘉が入り口から入ってきたところだった。

 遠目で見たことはあったが、まじまじと見るのは初めてだ。白ブラースに紺色の膝上タイトスカート、ブルーと紺のチェックのベスト。わりとピッチリしているため、スタイルのよさが強調されていた。

「お疲れ様。今からお昼?」

「あぁ。和食食べに行くところ。」

 麻嘉と尚志の会話を近くで聞いていると、入り口から入ってきた男性が、麻嘉を呼んだ。イケメンで有名な人事部課長だ。

 
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