神様修行はじめます! 其の五
「…………」


 わあわあと取り乱して泣き喚くあたしの耳に、小さな声が聞こえた。……気がした。


 ふと息を止めて子猫ちゃんの姿を凝視したとき、子猫ちゃんの焦点のズレた目が、ほんのわずかに動いたように見えた。


 ……まさか!?


 あたしは藁にも縋る思いで、子猫ちゃんの体に自分の顔を近づける。


 まさか、あぁ、神様。もしかして、ひょっとして……。


「に……いぃ……」


 ムッと生臭い血の臭いと一緒に、吐息のように細い切れ切れの鳴き声が聞こえてきて、あたしの頭の中で歓喜の大玉花火がバンバンと連発する。


 神様ありがとう! ハレルヤー!


 大急ぎで身を起こしたあたしは、ノドも裂けるほどの勢いで門川君に向かって絶叫する。


「まだ生きてる! 門川君、子猫ちゃんを助けてえぇぇ――!」


 普通だったら即死だろう。さすがは絹糸の子だ!


 幼いながらも神獣の驚異的な生命力が、ギリギリのところで命の糸を繋いでいる。


 でも、長くはもたない。なんといっても体が千切れている状態なんだ。


 それでも生きているこの状態で、子猫ちゃんはまさに地獄の苦痛を味わっているだろう。早く治療して楽にして上げないと!


「門川君、早く……!?」


 最後まで言い切る前に、あたしは目を丸くして絶句してしまった。


 こちらに背を向けている門川君の状況も、待ったなしのヤバイ状態だったからだ。


「龍! お前、また出てきたの!?」


 なんと中庭に、いつの間にかまた古代種の龍が出現して、所せましと大暴れしている。


 しかも今度は三匹! いったい何匹いるんだ龍って!


 その龍たちを相手に、門川君の氷龍がたった一匹で応戦していた。


 いくら門川君の氷龍とはいえ、古代種相手に三対一じゃ分が悪すぎる。


 どうしよう! 早く門川君に治療してもらわないと、子猫ちゃんが死んじゃうよ!
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