神様修行はじめます! 其の五
―― バリィ――ンッ!


 とつぜん、氷を砕く激しい音が空間に響きわたった。


 床から飛び出してきた一本の太い蔓が、九尾の異形のノドに巻き付き、ギリギリと締め上げる。


 この蔓は!


「頭の悪そうなツラのわりに、ずいぶんセコイ真似してくれたもんだ。だが残念ながら、俺にはその手は通用しねえんだよ」


 ズンッと腹の底が冷えた気がしたのは、氷の上に寝そべっているせいではないと思う。


 あたしはさっきとは別の意味でドキドキしながら、声のする方に顔を向けた。


 そして『あぁ、やっぱり』と、ものすごく複雑な思いで彼を眺める。


 うん。たしかに彼には、この手は通用しない。


 だってお岩さんを守るためなら、この人って人間としての情けも容赦も一切無用の人だもの。


 あたしの目の前には、その彼が……


 いったんブチキレると神様でも仏様でも止められない、『第六天魔王・セバスチャン』さんが、堂々と降臨あそばされていた。
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