神様修行はじめます! 其の五
 あたしの中に自分の居場所を見つけたように、炎が歓喜して流れ込んでくる。


 まるで激しい滝に打たれる禊のように、全身が炎の濁流に飲み込まれていった。


 あぁ……細胞ひとつ残さぬほどに、燃える。


 あたしのすべてが炎によって浄化され、そして、あたしと炎はひとつになる……。


『 ――あなたは、火。


 そしてあたしも、火。


 火は純粋な原始。


 原始とは、思考ではない。


 思想でもない。


 善・悪であってもならない。


 原始とは、すべてを超えた対岸の物―― 』


 心の奥から滾々と、意味が生まれ出る。


 目の前の烈火はすでに混沌として、もはや、色という概念を喪失している。


 けたたましい色彩が轟々と音を奏で、命の萌えいづる音は、鮮烈に彩られる。


 燦々と讃え踊る業火。すべての境界線の喪失。


 あたしの世界は、炎と呼ばれる存在に凌駕されてしまった。


 あたしは、支配、されるの?


 ……いいえ、違う。


 支配など、他者の概念でしかナイ。


 そんなモノは、炎の存在意義であっては、ならナイ。


 このワタシの指先を湿ラス、冷たい炎のヨウニ、オマエに概念など、無イ。


 オマエは、唯一デアリ……



『タダ、ソレデ『足ル』コトヲ、知リナサイ』



 導かれるように無限の意識が集合し、あたしは両目をカッと見開く。


 言葉と意味が、とつぜん声となって唇を震わせた。


 とたんに炎が……忽然と消えた。
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