神様修行はじめます! 其の五
「天内君!」


 懸命に術を制御し続けている門川君が、励ますようにあたしの名を呼んだ。


 でも、すでに彼の術光は蛍のように儚くて、白くチラチラと揺らぐのみ。


―― もう、尽きる。すべてが。


 力場が轟々と乱れ、時空が反響するように揺らぎ、空気が沈みながら澱んでいく。


 途切れそうな意識の中で、あたしは逃れられない終焉を悟った。


「う……くっ……うえぇ……」


 世界が終わりを迎えるという圧倒的な現実が、ただ寂しくて悲しくて、苦しい息で咽び泣く。


 涙で霞む視界の向こう、ぼやける門川君の背中越しに、地味男の姿が見える。


 すべてが薄らぐ視界の中で、なぜか地味男の姿だけはハッキリ目に映ることが不思議だった。


 物も言わずにたたずみ続ける彼の目に宿るのは、相も変わらぬ頑迷なる意思。


 なのに額に、眉間に、頬に、隠しきれないほどの深い悲しみが漂っている。


 ……なぜ? これがあなたの、心からの願いだったのでしょう?


 望む終焉を目の前にして、あなたは、なにをそんなに憂いているの?


 どこか遠い彼方を見据えるような顔をして、その先にあったはずの物に、いまだ届かぬ指先を伸ばしているかのように……。
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