神様修行はじめます! 其の五
じ、地味男、どういうつもり? まさか水園さんの身代わりになって死ぬつもりなの?
なぜ? だってあんたは、水園さんを骨の髄まで憎んでいるんじゃ……?
「さあ、今すぐ私を連れていきなさい。さあ!」
フラフラと身を起こし、挑発するように両腕を大きく広げた地味男の姿に、『底なし穴』は興味をひかれたらしい。
それまで執着していた水園さんからスッと離れて、真っ直ぐ地味男に向かっていく。
そして彼の着物の襟を大きな指先でヒョイとつまんで、ズルズル引きずり始めた。
異界への穴へと向かってゆっくり引きずられながら、地味男は肩を揺らして小さく笑っている。
母猫に運ばれる子猫みたいにまったく無抵抗なその姿からは、ほんのわずかな恐怖心も感じられなかった。
まるで、すべてを納得して死刑台に向かっている死刑囚みたいだ……。
二度と戻れぬ場所に自ら赴く男を前にして、あたしはなにもできずに唖然と見守るだけだった。
門川君も絹糸も、目の前を引きずられていく地味男の姿を、黙って見つめているだけだ。
これが、地味男の最期。
このまま地味男が生け贄になれば、異界の道はすぐさま閉じて、それでこの戦いは終わりを迎える。
自分が開いた異界の道への生け贄になってしまうなんて……なんてあっけない最期だろう。
『因果応報』とか、『身から出た錆』とか、『自業自得』とか。
そんな言葉があたしの頭に浮かんでは、泡のように消えていった。
地味男は敵だ。間違いようもなく倒すべき敵なんだ。
だけど……。
なぜ? だってあんたは、水園さんを骨の髄まで憎んでいるんじゃ……?
「さあ、今すぐ私を連れていきなさい。さあ!」
フラフラと身を起こし、挑発するように両腕を大きく広げた地味男の姿に、『底なし穴』は興味をひかれたらしい。
それまで執着していた水園さんからスッと離れて、真っ直ぐ地味男に向かっていく。
そして彼の着物の襟を大きな指先でヒョイとつまんで、ズルズル引きずり始めた。
異界への穴へと向かってゆっくり引きずられながら、地味男は肩を揺らして小さく笑っている。
母猫に運ばれる子猫みたいにまったく無抵抗なその姿からは、ほんのわずかな恐怖心も感じられなかった。
まるで、すべてを納得して死刑台に向かっている死刑囚みたいだ……。
二度と戻れぬ場所に自ら赴く男を前にして、あたしはなにもできずに唖然と見守るだけだった。
門川君も絹糸も、目の前を引きずられていく地味男の姿を、黙って見つめているだけだ。
これが、地味男の最期。
このまま地味男が生け贄になれば、異界の道はすぐさま閉じて、それでこの戦いは終わりを迎える。
自分が開いた異界の道への生け贄になってしまうなんて……なんてあっけない最期だろう。
『因果応報』とか、『身から出た錆』とか、『自業自得』とか。
そんな言葉があたしの頭に浮かんでは、泡のように消えていった。
地味男は敵だ。間違いようもなく倒すべき敵なんだ。
だけど……。