神様修行はじめます! 其の五
「なぜ、です?」
危機を脱してすっかり穏やかになった空気とは裏腹な声がする。
ギリギリで生け贄を免れた地味男の、感情の籠らない声だった。
「なぜあなた方は、この私を救おうとするのですか? 私はあなた方の敵なのに」
仰向けになった地味男は、ボンヤリとした目で天井を眺めている。
天上に開いた大穴から見える星空を眺めているようにも見えるけど、たぶん、違うだろう。
すべてが抜け落ちてしまったようなその目には、なにも見えていない気がした。
「私を見捨てる理由なら山ほどあれど、救う理由がどこにあるというのです? 私は、これほどまでに穢れてしまった存在なのに」
地味男の表情は淡々としていて、別に嫌味で言ってるわけでも、捨て鉢になってるわけでもないようだった。
だから、あたしには分かった。
地味男が本当に言いたいことは、違うんだって。
『なぜあなた方は、そうまでして現世を守ろうとするのか? 見捨てた方がよほど自分たちの得になるのに』
地味男はあたしたちに、そう問うているんだ。
「理由がほしいと言うのなら、それは、いくらでもあるのだろう」
門川君が答える声を、地味男が上を向いたまま黙って聞いている。
……救う理由、か。
たとえば水園さんが地味男を救おうとしたのは、言い方は悪いけど自己満足。過去の自分が犯した罪の清算のためだ。
クレーターさんが地味男を救ったのも、似たようなもんだよね。身も蓋もない言い方だけどさ。
でもさ、それだけじゃないんだよ。
危機を脱してすっかり穏やかになった空気とは裏腹な声がする。
ギリギリで生け贄を免れた地味男の、感情の籠らない声だった。
「なぜあなた方は、この私を救おうとするのですか? 私はあなた方の敵なのに」
仰向けになった地味男は、ボンヤリとした目で天井を眺めている。
天上に開いた大穴から見える星空を眺めているようにも見えるけど、たぶん、違うだろう。
すべてが抜け落ちてしまったようなその目には、なにも見えていない気がした。
「私を見捨てる理由なら山ほどあれど、救う理由がどこにあるというのです? 私は、これほどまでに穢れてしまった存在なのに」
地味男の表情は淡々としていて、別に嫌味で言ってるわけでも、捨て鉢になってるわけでもないようだった。
だから、あたしには分かった。
地味男が本当に言いたいことは、違うんだって。
『なぜあなた方は、そうまでして現世を守ろうとするのか? 見捨てた方がよほど自分たちの得になるのに』
地味男はあたしたちに、そう問うているんだ。
「理由がほしいと言うのなら、それは、いくらでもあるのだろう」
門川君が答える声を、地味男が上を向いたまま黙って聞いている。
……救う理由、か。
たとえば水園さんが地味男を救おうとしたのは、言い方は悪いけど自己満足。過去の自分が犯した罪の清算のためだ。
クレーターさんが地味男を救ったのも、似たようなもんだよね。身も蓋もない言い方だけどさ。
でもさ、それだけじゃないんだよ。