君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
流人の席から、きゆの席はよく見える。
たった一人、ど真ん中の上座に座っているわけだから、きゆと言わず全ての人を見下せる。
流人は、きゆの隣に座っているこの場で唯一の若い男が、気になってしょうがなかった。
そんな流人の元に役場に勤める女性三人組がお酌に来た。
女性三人組と言っても、流人の母親位の年配の女性だ。
「流人先生、本当にこの島の来てくれてありがとうございます。
こんなイケメンの若い先生で、もう、私達、島の女性は久しぶりにドキドキしてるんですよ」
「いやいや、イケメンだなんて……
ありがとうございま~す」
流人は女性を目の前にすると、基本、明るくなるし、盛り上げたいと気負ってしまう。
それがチャラ男と呼ばれる所以であることは分かっている。
でも、そうなる自分が嫌いではないし、その特性は色々な意味で役に立つことが多かった。
「本当に、この何か月でこの島の若い人の人口が増えて、みんな喜んでるんですよ。
年末には足立さんの所のきゆちゃんが、綺麗な美人さんになって帰ってきてくれるし、村の大人達は瑛太と一緒にさせなきゃって躍起になってるんです」