君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「瑛太??」
流人はもうピンときた。
きゆの隣に陣取っているあの男が瑛太に違いない。
「きゆちゃんの幼なじみでね、小っちゃい時から仲が良くって一緒に育ったようなものなのよ。
瑛太はこの島で消防隊員として頑張ってくれてるんだけど、何せ出会いが全くない場所でしょ。
きゆちゃんが帰ってきて、一番瑛太が喜んでるの。
そんな瑛太を見て、この島の大人達はどうにかしてあげなきゃって色々考えてる。
これは二人には内緒ね」
……内緒って。
流人はきっと、無愛想で意地悪な顔になっている。こんな話を聞かされて心中穏やかでいれるはずがない。
……瑛太ときゆをくっつける? そんなことあり得ないですから。
「そう、だから、先生にお願いがあって。
先生も独身でしょ?
あんな可愛らしいきゆちゃんが四六時中一緒いれば、先生だってきゆちゃんに惚れちゃうかもしれないけど、そこは、グッと堪えて下さいね。
きゆちゃんには瑛太がいるので…
よろしくお願いします」
流人は目を細め、確実に不機嫌な顔をしている。
「でも、もしもですよ。
もしも、僕がきゆさんを気に入って、そしたら、きゆさんも僕を気に入ったら?」