君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「あ、流人先生、2次会はどうされますか?」
きゆは、村に一軒だけあるスナックで2次会がある事を流人に告げた。
「いい、今日は疲れてるから、遠慮しとく」
きゆは流人のその言葉を役場の人に伝えると、流人に車の鍵を渡した。
「送って行くから、先に車に乗ってて」
きゆは流人にそう言うと、まだ話していない人達に挨拶をするため大広間に戻った。
流人は車に乗り込むと、エンジンをかけてきゆを待った。
FMもAMも入らないため、車に置いてある真っ白なCDを入れて鳴らしてみると、それは誰かの漫談のCDだった。
結構、漫談って面白い…
流人はそう思いながら、座席を倒し寝転んできゆを待った。
すると、きゆが誰かと話しながらここへ歩いてくるのが分かった。
流人は座席を元に戻し、窓を開けて外を見た。
……マジか。
きゆが瑛太と楽しそうに話しながら歩いてくるのが見える。
一気に不機嫌モードに入ってしまう自分が情けない。
「流人先生、紹介しますね。
私の幼なじみで消防隊員の小川瑛太さんです」
そのきゆの他人行儀な物言いも、瑛太という男の筋肉モリモリなマッチョな風貌も、何もかもが流人は気に喰わなかった。