君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
「いや、きゆがすごく痩せて帰ってきたから、相当心配してるんです。
昔はぽっちゃりしてて、マシュマロみたいに可愛くて、ほっぺにできるえくぼが本当によく似合ってて…
ま、女の人はお年頃になれば、痩せて綺麗になるとはいいますけど、でも、それでも、なんか、とても気になって」
きゆは運転をしながら、瑛太の口にガムテープを貼ってしまいたいと心でずっとそう思った。
「なんか、ちょっとやつれたというか、表情が寂しそうというか」
「瑛太、やめて」
きゆは我慢できずにそう叫んだ。
「流人先生にそんな話をしても迷惑なだけでしょ?
ほら、もうすぐ着くから、静かにしてて下さい」
瑛太は大きな声で笑った。
「きゆはいつもこんな感じなんですよ。
小さい頃からこうやって僕は怒られてばかりで。
なんか懐かしいな~、きゆが子供のままで嬉しいよ」
流人はうんともすんとも何も言わずに、暗闇の一点をずっと見ている。
瑛太の響き渡る大きな声を聞くだけで胸くそ悪くなるし、その幼なじみとかいう親密な関係にも吐き気さえ感じた。
流人の目は更に更に細くなり、これから始める島での生活に順応できるのか、少しだけ自信をなくしていた。