君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
きゆは顔を覆い、声を上げて泣いた。
きゆがこの島に急いで帰ってきた理由は、自分や流人の両親を守るためでもあった。
どうせ傷つくのなら、少しでも傷が浅い方がいい。
大切な跡取り息子を私が奪ってしまうわけにはいかない…
「きゆがどんなに泣こうがわめこうが、俺と結婚することには変わりはないから。
親が反対しても、俺達さえ愛し合ってれば関係ない。
きゆは、俺の事を愛してるんだろ?」
きゆはジッと下を向いたままだ。
「きゆ?」
「分かんないの…
あの誕生日の日から、自分の気持ちが分からなくなってる…
流ちゃんを諦めようとする気持ちが大き過ぎて、何もかも投げ出せるほど流ちゃんを愛してるのか?って聞かれれば、何も答えられない…
愛してたのは間違いない… でも……
きっと、自分の気持ちに蓋をして鍵をかけてしまったのかも…」
流人は立ち上がり、きゆの隣にまた腰かけた。
「じゃ、俺が、きゆのその心の鍵を壊してその蓋を取っ払ってやるよ。
きゆの不安の元になってる色々な問題にもちゃんと向き合う。
だから、これからの俺をちゃんと見て。
一年の期間限定だけど、もう一度、きゆの心を取り戻すから」