君の中で世界は廻る〜俺様ドクターの唯一の憂い〜
きゆの言葉に、マルを抱きかかえた流人が反応した。
「本田さん、マルって、結構、高齢ですか?」
本田の膝の上にマルを置いて、それでもまだマルをさすりながら流人は、そう質問した。
「もう、今年で11歳になるよ。
10年前に家内が死んで、その時に寂しくないようにって、息子たちがマルを連れてきてくれたんだ」
「そっか~、マルはおじいちゃんの相棒か~」
流人はそう言いながら、またマルを抱っこする。
「マルが私以外にこんな顔を見せるのって、あんまりないから驚いたよ」
「そうっすか?
なんせ、僕は、子供の頃、家に動物園を作ろうと思ってたくらいですから」
そうなんだ…
院長先生の言ってたとおり…
「流人先生、マルちゃんより、本田さんを診てあげて」
流人はマルを座布団の上に置くと、今度は本田を座椅子の横に寝かせた。
「いつ頃から強い痛みがありました?」
医者の顔に変わった流人は、本田に今の状況を詳しく聞いた。
そして、仰向けに寝かせ膝を立たせたり、横向きに寝かせ筋を伸ばしたり、痛みを感じない程度に優しくマッサージをした。