御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

「ホントに将生は心配性だね。私も将生から離れられないんだから、謝らないでよ」

「そっか。じゃ、遠慮なく俺のそばにいてもらうかな」

将生の声にも笑いが混じる。

「それに考えてみたら、ずっと同じ部署にいるのは無理だからな」

急に余裕を持った口調もその意味も、なんのことを言ってるんだか分からなくて、顔をあげて首を傾げる。



「夫婦で同じ部署は無理って知らない？」

ニヤリと笑う将生の顔を凝視してしまう。

「そ、それ、だって‥‥あ、あの‥‥」

なんとか返事しようとしてもアワアワしてしまってちゃんとした日本語にならない。

「ま、ちゃんとしたのはまた今度、ね。俺にも夢はあるし、香奈美にも幸せ感じてもらわないとだしね」

爆弾が予想以上の破壊力を披露して満足したのか、黒さの混じるその笑顔はとても嬉しそうだった。