御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
それから私達は週末中、ずっと2人だけで甘い時間を過ごした。

料理を作りながら、テレビを見ながら、ぼんやりとくつろぎながら。その合間に沢山のキスをする。とても幸せで贅沢な時間だ。



一緒にランチを作っている時に、独り言のように将生が呟いた。

「最近さ、香奈美と食事してる時にたまにあるんだよ。あ、俺ってこれ嫌いだったんだなーって発見する時」

「‥‥嫌い、だけ?」

「んー‥‥。あ!こないだ行った店の鴨のコンフィはもっと食べたいと思ったな」

「そっかー。確かにあれは美味しかったよね」


素っ気なく答えながら、私は浮かんでくる涙を必死に隠す。



将生は気付いてないのかな。食べたいモノや嫌いなモノ、初めて持った気持ちだって。
自分の心に素直になって食事してるって。


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