御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「あのー、それは決定ですか?」

控えめに可能性を確かめる。

「うん?なにか不都合があったかな?今、鈴木君は抱えてる大きな案件はなかったはずだし、適任だと思ったんだけど」


「‥‥はい」

やっぱり断わる事は出来ず、私はしばらくの間坊っちゃまのアシスタントにつくことが決まった。


うちの営業部では各営業に決まったアシスタントがいるわけじゃない。基本は同じグループに所属するアシスタントに様々な事務作業をお願いする。
そして大きな案件が立ち上がった時だけは担当のアシスタントが決まるのだ。そのアシスタントが各営業との情報の橋渡し役にもなる。

誰をアシスタントにするかは基本、課長の判断だ。もちろん、営業さんとの相性や過去に同じような案件に参加しているか、時によっては営業からの希望で決まる事もある。


今回の決定が課長の判断であっても、坊っちゃまを狙う肉食女子さん達には関係ない。彼女達の目には『ちょっかいかけられて調子に乗った地味子が浮かれてアシスタントを希望した』と映るだろう。
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