御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
「香奈美さんは食事に夢中で、俺のことなんか見てないって思ってたのに。意外と見てるんだね。」

「そりゃ、2人で食事してるんですから」

軽い皮肉をかわして更に聞く。

「普段はそうじゃないのに。食事、好きじゃないんですか?」


坊っちゃまが軽く息をのんだ。箸をテーブルに置いて、私を真っ直ぐに見つめる。

「ちょっと時間がかかる話なんだ。良かったら聞いてくれる?俺は香奈美さんに聞いて欲しいと思ってる」

わたしも箸を置いて、真っ直ぐ見つめ返してからコクンと頷いた。

坊っちゃまは、垣内係長は私に内側を見せてくれようとしてる。それは凄く大きな決心だし、私は真摯に向き合うべき事だ。

表情から私なりの覚悟を受け取ったのだろう。
係長がふわりと表情を緩めた。

「流石に昼休憩では時間が足りないからね。今夜、付き合ってね」

もう一度コクンと頷いて、私達は食事を再開させた。
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