御曹司様のことなんて絶対好きにならない！

「だってさー」

まだ言い募ろうとすると、バッサリと切られた。

「誰を誰がいつ好きになるかなんて、神様にだって分からないわよ。そんな事気にしてる間はまだまだ恋愛初心者ね」

‥‥ダメだ。そもそも恋愛に関して知恵ちゃんを言い負かそうとするのが間違いなのだ。


「そういやさ、なんで知恵ちゃんは最初から係長を私に勧めたの？係長は御曹司だし、女性人気も高いし、わたしに合うとは思えないんだけど」

話題を変えて聞くと、知恵ちゃんはフフンと嬉しそうに笑った。

「坊っちゃまは確かに女性人気は高いし軽そうだけど、実際にそんな噂聞かないでしょ？まぁ、上手く隠してるのかもしれないけどさ、仕事中に女子社員のご機嫌取ったり態度かえたりしないじゃない。
それなのに焼肉の翌日からあからさまに香奈美に興味示して、それを隠さなくてさ。これは本気なのかなーって。
私は何回かアシスタントした事あるから、坊っちゃまがどんな人間なのか少しは知ってたし」