御曹司様のことなんて絶対好きにならない!
垣内係長が昇進する前、知恵ちゃんと係長は一緒のグループだったから、知恵ちゃんが私より係長を知っているのは納得出来る。
それに、私も気付いてはいたんだ。
どんな女子社員にも、係長は必ず名字で呼ぶ。みんなに公平に優しいけれど、そこにはいつもラインがあってその中には誰も入れないのに。
なのに、いつの間にか私の事は『香奈美さん』って呼んでて。
もちろん仕事の話の時は相変わらず、鈴木さんって呼ばれてる。でも就業時間内なのに初めて名前で呼ばれた時、私はドキンとしたんだ。
「そっか」
「うん、そうだよ。だから今は自分の希望通りになりそうで凄く嬉しいし、香奈美が幸せな顔で惚気てくれるのも広い心でぜーんぶ許せちゃう」
ニカっと笑ってくれるけど、言われた事は微妙だ。
「私、全然惚気たつもりないんだけど。まだ付き合ったわけでもないし」
「何言ってんだか。さっきの話なんて、丸ごと惚気だからね。無自覚なの?」
それに、私も気付いてはいたんだ。
どんな女子社員にも、係長は必ず名字で呼ぶ。みんなに公平に優しいけれど、そこにはいつもラインがあってその中には誰も入れないのに。
なのに、いつの間にか私の事は『香奈美さん』って呼んでて。
もちろん仕事の話の時は相変わらず、鈴木さんって呼ばれてる。でも就業時間内なのに初めて名前で呼ばれた時、私はドキンとしたんだ。
「そっか」
「うん、そうだよ。だから今は自分の希望通りになりそうで凄く嬉しいし、香奈美が幸せな顔で惚気てくれるのも広い心でぜーんぶ許せちゃう」
ニカっと笑ってくれるけど、言われた事は微妙だ。
「私、全然惚気たつもりないんだけど。まだ付き合ったわけでもないし」
「何言ってんだか。さっきの話なんて、丸ごと惚気だからね。無自覚なの?」