副社長とふたり暮らし=愛育される日々
…………しばし絶句。

女装バーに、ニューハーフ……? 想像すらしていなかった言葉の連続で、私はまばたきを繰り返すことしかできない。


「……マジ?」

「あぁ、マジだ。家を知られたら瑞香に迷惑がかかるから帰れなくて……本っ当にすまない!」


テーブルにおでこがつきそうなくらい頭を下げるお兄ちゃんを、呆気に取られながら見つめていると、私の隣で副社長が冷静に言う。


「な? 俺が言っても信じられなかっただろ」


たしかにそうですね……と思いながら、カクリと頷く私。今、本人の口から聞いても信じられないのだから。


「お兄ちゃんが女装……」


まさか、そんな世界に足を踏み入れていたとは!と呆然としたまま呟くと、副社長がテーブルに置いていたスマホを手に取りながら言う。


「結構イケてたぞ。見るか?」

「ちょ、朔也さんやめて!!」


必死に阻止しているお兄ちゃんを見て、あぁ本当に本当なんだ……と実感する。

ていうか、副社長お店に行ったの? それとも、写メだけもらったのかわからないけど、とりあえずお兄ちゃんの女装姿は気になるから、あとでこっそり見せてもらおう。

密かに企んでいると、お兄ちゃんはバツが悪そうに肩をすくめながら言う。

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