副社長とふたり暮らし=愛育される日々
次第に気持ちが前向きになってきた私に、朔也さんはアドバイスをくれる。


「まず、皆の考えを変えるようなプレゼンをしてみろ。妥協するのはそれからだ」

「プレゼン……」


それはつまり、皆にどれだけ自分が沈丁花の香水を作りたいかをアピールする、ってことか。

今日の私には全然できなかったことだ。本気で作りたいなら、もっと熱意を見せないとダメだよね。


「そっか……。うん、やってみます!」


どうすれば皆の心を動かせるかはまだわからないけど、諦めるのは早いということはわかったから。自分にできることをしてみよう。

決意を新たに、力強く宣言すると、朔也さんは表情を緩ませて頷いた。


「大丈夫。本気でぶつかるやつには、相手も本気で返してくれるものだから」


彼の声には説得力があって、とても勇気づけられた私は、焦げたコロッケもペロリと平らげるのだった。


 *


翌週、バレンタインを数日後に控えた、第二回目の会議の日がやってきた。

朔也さんに言われて、私なりに考えた意見を胸に、以前と同じミーティングルームに向かう。その前に着くと、深呼吸をして、緊張を抑えてからドアに手をかけた。


「お疲れ様です!」


元気良く挨拶をして中に入ると、座って作業していたり、立って話したりしていたメンバーが皆、私を見て固まった。

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