副社長とふたり暮らし=愛育される日々
その香りを嗅いだ彼らは、「やっぱりそうだよね」と頷いた。
同じように香りを確かめた唐木さんは、ぎこちない笑いを口元にだけ浮かべ、私に若干イラついたような声を投げてくる。
「だから、難しいんだって前回も──」
「私は、皆さんとなら、これを超えた商品を作れると思ってます」
彼女の言葉を遮り、力強く言い切った。唐木さんも、ほかの皆も目を丸くする。
「Mimiの金木犀の香水を初めて嗅いだ時、本物の花みたいでびっくりしたんですよ。芳香剤っぽくならずに、ここまで再現できるのはすごいなって」
まだモデルになる前、Mimiの存在を知るきっかけになった香水を思い出しながら言った。
私は姿勢を正し、黙って耳を傾けてくれている皆に、真摯に頼み込む。
「素敵な香水をたくさん生み出してきた皆さんだから、無理を承知でお願いします。どうかもう一度、企画を練り直していただけないでしょうか」
祈るような想いで、「お願いします」と頭を下げると、誰かが深く息を吐き出した。
「……私たちを挑発してるの? いい根性してるわね、あなた」
コトリ、とテーブルに香水を置き、感情を読み取れない声を発するのは三嶋さんだ。
同じように香りを確かめた唐木さんは、ぎこちない笑いを口元にだけ浮かべ、私に若干イラついたような声を投げてくる。
「だから、難しいんだって前回も──」
「私は、皆さんとなら、これを超えた商品を作れると思ってます」
彼女の言葉を遮り、力強く言い切った。唐木さんも、ほかの皆も目を丸くする。
「Mimiの金木犀の香水を初めて嗅いだ時、本物の花みたいでびっくりしたんですよ。芳香剤っぽくならずに、ここまで再現できるのはすごいなって」
まだモデルになる前、Mimiの存在を知るきっかけになった香水を思い出しながら言った。
私は姿勢を正し、黙って耳を傾けてくれている皆に、真摯に頼み込む。
「素敵な香水をたくさん生み出してきた皆さんだから、無理を承知でお願いします。どうかもう一度、企画を練り直していただけないでしょうか」
祈るような想いで、「お願いします」と頭を下げると、誰かが深く息を吐き出した。
「……私たちを挑発してるの? いい根性してるわね、あなた」
コトリ、とテーブルに香水を置き、感情を読み取れない声を発するのは三嶋さんだ。