副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「え……えっ!?」
戸惑う私と海都くん、そしてスタッフに構わず、彼は手を引いてずんずんと歩き出す。
わけがわからないまま、スタジオの隅にある、個室のメイクルームに連れ込まれてしまった。
パタン、と扉が閉められ、小さく息を吐きながら腕を組んだ副社長が、私に目を向ける。キレイな二重の瞳と視線が絡まっただけで、私の心臓は大きく飛び跳ねた。
も、もしかして……私の仕事っぷりを見兼ねてお説教するつもりなのかな? きっとそうだよね!?
内心ビクビクしながら、とにかく謝ろうと口を開きかけた時、副社長のほうからこんなひと言が飛び出す。
「りら、だったな。“Mimi”の専属モデルの」
確認するように抑揚のない声で言われ、私はシャキッと背筋を伸ばして返事をする。
「はい……! あの、失敗してばかりでご迷惑おかけしてしまって、本当にすみま──」
早口で言い、深く頭を下げようとすると同時に、なぜか副社長も私の顔を覗き込むようにして前屈みになる。
おかげで、危うくキスしてしまいそうなくらい顔が近づき、私はギョッとして身を引いた。にもかかわらず、副社長はじっと私を見据えてくる。
すべてを見透かすような、少し色素の薄い瞳から目を逸らせずにいると、彼は無表情で言い放つ。
「お前、男経験ないだろ」
……それは見事に当たっていて。
彼の洞察力に感服しつつ、私はカチッ、と固まった。
戸惑う私と海都くん、そしてスタッフに構わず、彼は手を引いてずんずんと歩き出す。
わけがわからないまま、スタジオの隅にある、個室のメイクルームに連れ込まれてしまった。
パタン、と扉が閉められ、小さく息を吐きながら腕を組んだ副社長が、私に目を向ける。キレイな二重の瞳と視線が絡まっただけで、私の心臓は大きく飛び跳ねた。
も、もしかして……私の仕事っぷりを見兼ねてお説教するつもりなのかな? きっとそうだよね!?
内心ビクビクしながら、とにかく謝ろうと口を開きかけた時、副社長のほうからこんなひと言が飛び出す。
「りら、だったな。“Mimi”の専属モデルの」
確認するように抑揚のない声で言われ、私はシャキッと背筋を伸ばして返事をする。
「はい……! あの、失敗してばかりでご迷惑おかけしてしまって、本当にすみま──」
早口で言い、深く頭を下げようとすると同時に、なぜか副社長も私の顔を覗き込むようにして前屈みになる。
おかげで、危うくキスしてしまいそうなくらい顔が近づき、私はギョッとして身を引いた。にもかかわらず、副社長はじっと私を見据えてくる。
すべてを見透かすような、少し色素の薄い瞳から目を逸らせずにいると、彼は無表情で言い放つ。
「お前、男経験ないだろ」
……それは見事に当たっていて。
彼の洞察力に感服しつつ、私はカチッ、と固まった。