副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「なんで何も準備してないんだよ。俺が冗談言ってるとでも思ったか?」
家に上がり、バッグも何も用意していないのを見て、副社長は呆れた様子だ。こんなにすぐにまた彼と会うことになるとは思いもしなかった私は、いまだに呆然としたまま答える。
「いえ、あの、一瞬だったから空耳かと……」
「ははっ。そうか、急いで車に乗っちまったから。悪い」
軽く笑ってそう言った副社長は、スーツのポケットに片手を突っ込み、おもむろにキッチンへ移動する。そして冷蔵庫を観察するように眺めながら、ここに来た理由を話してくれる。
「仕事をだいたい片付けたあとに若松さんとたまたま会って、その時に聞いたんだ。瑞香が予想外のトラブルに遭ってるって」
「あぁ、七恵が……!」
そういえば、七恵も仕事だった。撮影だと言うからスタジオにいるのかと思っていたけど、その前に本社に寄ってメイク道具を持っていくらしいから、タイミング良く副社長と会ったのかもしれない。
もしかして、私の代わりに助けを求めてくれたのかな……と考えていると、またしても耳を疑うようなひと言が飛び込んでくる。
「だから、お前を連れ去ることにした」
「…………はぃ?」
目と口をぱかっと開けて固まる私は、絶対にマヌケな顔だろうけど、そうなるのも仕方ないと思う。
だって、“連れ去る”って!?
家に上がり、バッグも何も用意していないのを見て、副社長は呆れた様子だ。こんなにすぐにまた彼と会うことになるとは思いもしなかった私は、いまだに呆然としたまま答える。
「いえ、あの、一瞬だったから空耳かと……」
「ははっ。そうか、急いで車に乗っちまったから。悪い」
軽く笑ってそう言った副社長は、スーツのポケットに片手を突っ込み、おもむろにキッチンへ移動する。そして冷蔵庫を観察するように眺めながら、ここに来た理由を話してくれる。
「仕事をだいたい片付けたあとに若松さんとたまたま会って、その時に聞いたんだ。瑞香が予想外のトラブルに遭ってるって」
「あぁ、七恵が……!」
そういえば、七恵も仕事だった。撮影だと言うからスタジオにいるのかと思っていたけど、その前に本社に寄ってメイク道具を持っていくらしいから、タイミング良く副社長と会ったのかもしれない。
もしかして、私の代わりに助けを求めてくれたのかな……と考えていると、またしても耳を疑うようなひと言が飛び込んでくる。
「だから、お前を連れ去ることにした」
「…………はぃ?」
目と口をぱかっと開けて固まる私は、絶対にマヌケな顔だろうけど、そうなるのも仕方ないと思う。
だって、“連れ去る”って!?