王様男と冷血男の間で
雨降って地固まる⁈
円は門の前に立っている真蔵を見て
一瞬、たじろいだ。

しかし、先に元カノと寄りを戻したのは真蔵だ。

その事を思い出して円はまた強気に出た。

「アンタに関係ないでしょ?

お父様に聞かなかったの?

婚約は破談になったの!」

「俺は破談にするなんて一言も言ってない!

お前が勝手に…てゆーか何でいきなり破談にしたいなんて…」

真蔵は義政の顔を見た。

「コイツのためか?

この男と付き合うから俺は要らないってことか?」

義政はいきなり破談が自分のせいにされて
何が何だかわからなかったが
円の婚約者が目の前にいる自分勝手な男という事にすぐに気がついた。

「円、この人が例の婚約者?」

義政にいきなり呼び捨てにされて円は呆気にとられた。

(義政くんまでいきなりどーしたの?
何だかわかんないけど…
これって修羅場ってヤツだよねー。どうしよう⁉︎)

「義政くん、き、今日はとりあえず帰って。
ま、また連絡するから。」

話しがややこしくなりそうだったので円は義政を帰そうと思ったが
2人は円を飛び越えてバチバチと火花が出そうなくらい睨み合っている。

「お前、円と寝たのか?」

「ちょ、ちょっと!何言って…」

「お前は黙ってろ!俺はコイツに聞いてるんだ!」

義政は真蔵の振る舞いが許せず、
こんな男に振り回されてる円が可哀想だと思った。

「寝てたら円と別れてくれますか?」

いつも冷静な真蔵がその言葉に過剰に反応して
義政の胸ぐらを掴んで殴ろうとした。

「寝てないってば!寝るわけないでしょ?
やめてよ!こんな事するの!
真蔵さんらしくないよ。」

円がいきなり泣きそうな顔で真蔵の腕を掴んでを止めた。

「円…」

真蔵は突然泣き出した円を見て義政に掴み掛かった手を離した。

「円ちゃん…ごめん。

俺、今日は帰るよ。

二人でちゃんと話して。」

義政は円が辛そうにしていたので
真蔵を挑発した事を反省して帰って行った。

「ホントに寝てないよな?」

「アンタと一緒にしないでよ!

自分は元カノのホテルに泊まってHしたくせに…」

真蔵はなぜ円が柚月のホテルに泊まった事を知ってるのか不思議に思った。

「お前、俺を尾行でもしたの?」

「偶然、駅前の通りで手を繋いで歩いてるの見たの。

次の朝…電話したら女の人がでて…

真蔵はシャワー浴びてるって。」

真蔵は円が破談にした理由を知って
思わず円を抱きしめた。

「バカだな。それで破談かよ。」

「絶対、アンタとは結婚しない。

ほかに好きな人がいる男となんかゴメンだから。」

腕の中で暴れる円を真蔵は逃さないように
更にぎゅっと強く抱きしめた。

「俺も寝てないから。

その状況じゃ何言っても信じないと思うけど…

俺と結婚するのはお前だから。」

その言葉が円の胸をまた締め付ける。

「そんなにお祖父様の決めた結婚は逆らえない事なの?」

円は不安そうな顔をして真蔵の目も見る事が出来ない。

真蔵はそんな円が愛しくて、その不安を取り除いてあげたかった。

「そうじゃないよ。

ホントにお前はバカだな。

ちゃんと俺を見ろよ。」

円の顎を上げ、円の目を見つめると

「寝るわけないだろ?
俺が好きなのはお前なんだから。」

そう言って泣いている円にやさしくキスをした。







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