王様男と冷血男の間で
いざ、婚前旅行!
旅行当日は晴天で気持ちのいい朝だった。

真蔵が円を迎えにやって来た。

「じゃあ、行ってくるね。」

「真蔵さん、お願いしますね。」

「はい。」

円は真蔵の車で空港まで行く途中、
麻耶と洸太が同行する話をした。

「何だって?」

「だから、麻耶と洸太を仲直りさせたいの。
真蔵も一肌脱いでよ。」

「何で俺が?
しかも婚前旅行だろ?

まさか二人きりになるのが嫌なのか?」

そういう気持ちも無いわけでは無かった円は
何とか切り抜けようと言葉を探してる。

「い、いや、そうじゃなくて…
ほら、私たちがラブラブなところを見せたら
麻耶たちもラブラブしたくなるんじゃないかなーっと思って…。

ね、お願い!」

真蔵は呆れた顔をしていたが
何かを思いついた様だった。

「ラブラブしてるところを見せつければ良いんだよな?」

「うん。」

「わかった。協力する。」

真蔵がすんなり協力してくれると思わなかったので
円は喜んでいた。

後にこの作戦が自分にとって危険な事とも知らないで
…。

麻耶のアパートで麻耶を拾い、
洸太とは空港で直接落ち合う事になっていた。

「うわっ、マジでキングと同一人物には見えない。
でもどっちも素敵ですね。

円の友達の麻耶です。よろしくお願いします。」

麻耶はとにかく男を褒める。

それが麻耶がモテる秘訣でもある。

「知ってるよ。クラブで何度も見てる。

俺がキングなら君はプリンセスだ。

男は君を姫って呼んでた。」

「あ、クラブで遊んでた事は洸太には秘密でお願いします。」

「あぁ。何で喧嘩になったのかは知らないが
仲直りできるといいね。」

「ありがとうございます。」

そして空港に着くと洸太が待ってた。

洸太は真蔵と円に挨拶するだけで
麻耶とは口もきかない。

「これ、麻耶と洸太くんのチケット。

後から取ったから私たちとは席が離れてるの。」

「え?…わかった。」

しかし飛行機の中でも麻耶と洸太は一言も口をきいてないみたいだった。

「これじゃマズイよ。

何とかならないなかぁ?」

「まぁ、まだ着いたばっかりだろ?

これから俺たちが見せつければいいんだ。」

「え?」

「ラブラブなところを見せるんだろ?」

「あ、…うん。」

「じゃあ作戦を始めよう。」

そういうと真蔵がいきなり手を繋いだ。

「え?」

「見せつけなきゃな。」

真蔵は円と手を繋いだまま、
麻耶と洸太に近づく。

「俺と円はばあちゃんの墓参りに行くから
二人は適当に遊んで待っててくれ。

終わったら連絡するよ。

じゃあ洸太くん、麻耶ちゃんを頼むね。」

「え?…あ、はい。」

麻耶は羨ましそうに円と真蔵を見ていた。

「仲いいじゃん。ね?」

「どっか行きたいとこある?」

洸太はぶっきらぼうに麻耶に話しかける。

「じゃあ一緒に地獄でも巡る?」

「怖っ!おまえが言うとマジで地獄に突き落とされそう。」

そして麻耶が洸太の指に自分の指を絡める。

「行こう。」

「…仕方ねぇな。」

洸太は麻耶の手を取って歩き始めた。


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