王様男と冷血男の間で
裸の王女様
麻耶はさすがにもう無理だと思っていた。

「わかった。もう諦める。

考えてみたら洸太なんて居ても居なくても同じだもんね。

いつだって放ったらかしで私なんて去年の誕生日も祝ってもらえなかった。

もっと尽くしてくれる人と付き合うから。」

麻耶ほどの女の子ならすぐ新しい彼氏が出来るくらい洸太にもわかっている。

麻耶はとにかく可愛いし、みんなの憧れだった。

麻耶が自分の彼女だというのは洸太にとって自慢でもあった。

友達に麻耶を合わせるとみんな口を揃えて

「あんな可愛い子どこで見つけたんだよ?」

と羨ましがられた。

昔は洸太がぞっこんだったが…
いつの間にか麻耶が居るのが当たり前になって
大切にしなくなった。

洸太はそんなことを考えていた。

麻耶ほどの彼女がこの先出来るワケはないし、
正直別れるにはかなり惜しい。

いま簡単に許さないのは男の意地だったが
ホントに別れるとなると焦ってしまう。

「麻耶…許して欲しい?」

麻耶は突然洸太が考えを覆したので
洸太にもまだ未練が残ってると思った。

「もういいよ。」

立場が逆転したと思った。

「麻耶…キスしてくれたら許すよ。」

麻耶は簡単にキスなんてしない。

「もういいってば。
許してくれないって言ったでしょ?」

洸太が麻耶を抱きしめて

「ごめん。ちょっといじめすぎたかな?」

麻耶は涙を流してみせる。

男を落とすのは麻耶にとっては容易いことだ。

「悪かったよ。
もう浮気しないで。
約束するなら麻耶を許すから。」

麻耶は心の中でガッツポーズをした。

「わかった。ごめんね。洸太…でも寂しかったの。

そのくらい洸太のことが好きだったの。」

そう言って洸太にキスをすると。

洸太は浮気した事など忘れたように麻耶をベッドに押し倒した。

その頃円は真蔵にベッドに運ばれて
やっと気がついた。

タオルの下は何も付けてない自分の姿にビックリして
何が起こったのかアタマを整理していた。

「し、真蔵が私を?」

「風呂で気を失ってたぞ。

気をつけろよ。だから一緒に入りゃ良かったんだ。」

「まさか…見た?」

「仕方ないだろ?倒れてたのに放置出来るか?

そんなに大層な身体でも無いし安心しろ。

何とも思わないから。」

それはそれでショックだった。

そのとき隣から怪しい声が聞こえて来た。

(これって…あの声だよね?

えーっっ!?マズイ、マズイ、マズイ!

麻耶ったら何やってんのよ!

真蔵も聞こえてるよね?どうしよう〜〜っ?)

円の顔がみるみるうちに赤くなって下を向いてると
真蔵が近づいてきて円の寝てるベッドまでやってきた。

そして円に顔を近づけて言った。

「円…俺たちもするか?」

「え?え〜〜っっ?」

円はビックリしてベッドから飛び起きた。

タオルが落ちて真蔵を前にして全裸状態だ。

慌てて隠そうとまたベッドに潜り込んだ。

(どうしよう〜?どうしたらいいのー?)




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