王様男と冷血男の間で
マリッジブルー
真蔵に抱きしめられて円は反省する。

義政はキスした事を言ってないらしく
真蔵は別に怒ってはいないようだ。

「し、仕方ないよ。真蔵は忙しいんだし…」

円は真蔵が結婚の準備を手伝わない事を不満に思っていたが
義政とキスしてしまったせいで言い出せなくなってしまった。

「円…それで義政ってヤツの事だけど…」

「えっ!?」

円のあまりの驚きように真蔵が逆に驚かされる。

泊まったことを気にして反省してるのかと思ったが、
そうでは無い何かがあると直感した。

円の方は本当はキスしたことを義政にバラされてるんじゃないかとドキドキして来た。

「な、なんか聞いたの?」

「何を?」

逆に切り返してみると明らかに動揺している。

「アイツのとこ、泊まったんだよな?」

「え?…あ、えっとー…ごめん。
酔っちゃって、吐いちゃって…
タクシー乗れなくて…」

「それで?」

円は目が泳ぎ、まともに真蔵を見ようとしない。

絶対に何かを隠してる顔だと確信する。

「それでって?…な、何かあったとか思ってる?」

「実は…言わないつもりだったけど…
義政がお前に…」

そこまで言いかけた時、いきなり円が叫んだ。

「ごめんなさい!

そんなつもりじゃなかったの!

酔ってて覚えてなくて…麻耶に言われて…ビックリしたくらいで…」

「覚えてない?」

円の頭の中は覚えてないキスのことでいっぱいだ。

「ごめんなさいっ!

でもまさかキスしちゃったなんて…だけど本当に覚えてないの!」

「は?」

「え?」

「キス…したのか?」

「え?き、聞いたんじゃないのー?!」

「き、聞いてない。

俺が言おうとしたのは…

義政がお前にまだ気があるって事を言おうとして…」

円は自爆して、頭が真っ白になった。

「どういう事だよ?」

「うわーっ、ごめんなさい!
覚えてないの!本当に!

もうお酒やめるから、許して!」

その日から円は真蔵に頭が上がらなくなった。

常に命令口調だが…少しだけ変わったことがある。

真蔵は結婚式の準備を気にかけてくれるようになった。

放っておくと円がまた良からぬ事をしそうで安心出来ないからだ。

そして真蔵は不機嫌なまま、
結婚式まで2週間を切った。

結婚が目前になると円はどんどん不安になった。

いわゆるマリッジブルーに陥ったのだ。

そんなある日、円の前に義政が現れた。

「よ、義政くん⁈」

「円ちゃん、このままアイツと結婚していいの?
アイツと幸せになれると思う?」

円の気持ちはこの義政の言葉1つで大きく揺らいだ。

(あんな冷血男と結婚して上手くやっていけるのかな?
義政くんとキスした事ネチネチ言われ続けるかと思うと…ダメ、堪えられないかも。)

そしてなんと円は結婚式を目前にして突然姿を消してしまった。






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