王様男と冷血男の間で
冷血男が部屋に来た!
真蔵は部屋に入ると何の躊躇いもなく円のベッドに座った。

「ちょっと、何してるの?」

「あのソファに座るスペースがあるのか?」

確かに部屋の奥にあるソファは円の服だらけで座るスペースなどない。

「あ…でも、勝手にベッドに座るなんて!」

「ベッドに座るくらいなんだ。

俺がお前にここで何かするとでも?」

「お前って呼ばないでよ!」

「じゃあ何て呼べは?

マドカ…でいいか?」

名前を呼び捨てにされると何となく変な気持ちになった。

特別な人になったみたいな気がした。

「よ、呼び捨てにもしないで。」

「少しは可愛く振る舞えないのか?

どうせ結婚するんだ。

仲良くやろう。」

男に免疫がない円は落ち着きがなく
部屋をウロウロしている。

真蔵はそんな円を面白そうに見ている。

「少し落ち着いたら?」

そう言って円の腕を掴み、ベッドに座らせた。

「な、何するの?」

「案外子供なんだな。

さて、少しはご両親も安心したかな。」

そういうと真蔵はベッドから立ち上がり

「じゃあまた、次の日曜。」

と部屋から出て行った。

「円!真蔵さんお帰りになるわよ。

見送りくらいしなさい!」

母が呼びに来て円は嫌々門の外まで真蔵を見送った。

「じゃあおやすみ。」

「…じゃあ」

円は不機嫌そうに真蔵を見送る。

そんな円に真蔵は言った。

「今度はもっと俺の目を見て話せ。」

そう冷たく言って帰って行った。

「円、真蔵くんはどうだ?

良い男じゃないか?」

父親は嬉しそうに笑っている。

「うん、まぁ…うまくやってるから心配しないで。」

そんな父に嫌だとはとても言えなかった。

円はいつも真蔵の顔をまともに見ない。

目も合わせないし、話しもほとんどしない。

「結婚したくないなぁ。」

部屋に戻って1人そう言って溜息をついた。


「おはよう!

円、昨日のデートどうだった?」

「麻耶〜、今日もキングに逢いに行こう!

もうほんとに憂さ晴らししないとやってらんない!」

「ね、婚約者ってどんな人なの?そんなに嫌なの?

家は超金持ちでエリート公務員なんでしょ?

でも、珍しいよね?
自分ちの会社じゃなくてわざわざ公務員試験受けて公務員になるなんて。

家もよく許したって言うか…。」

「お兄さんが2人もいるんだって。

だからあの人は家を継がないんでしょ。

てゆーかあんな奴に興味ない。

それよりキングに逢いたいよー。」

そしてその夜も円は真蔵との嫌なデートを忘れるために麻耶とクラブに行き
キングが現れるのを待った。







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