純情シンデレラ
「・・・乗り心地はどうだい?」
「わっ、悪くない・・いえ、いいです。大丈夫です。私・・・ちゃんと乗れてます」
「それは怖くないってことかな」
「・・・はいっ」

運転中の有栖川さんは、当然前を見ている状態だ。
でも返事をした私の声で、私が本当に怖がっていないと分かったのだろう。
有栖川さんは前を見たまま「んー。エクセレント!」と言って、2・3度小さく頷いてくれた。

「さて見上さん。僕はお腹空いてるんだ。これから食べに行かないか?近くにさ、僕が時々行ってるフレンチレストランがあるんだ」
「あぁ。でも両親に言ってないから・・・」
「そこに電話がある。使ってくれたまえ」
「えっ?電話!?どこ・・・」
「そこ」
「わぁ、ホントだ」

これが自動車電話なのか・・・。近頃の文明の発達ぶりときたら、すごいとしか言いようがない!
初めて実物を見た私は、密かに感激しながら、遠慮なく自動車電話を借りて、自宅に連絡を入れた。

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