純情シンデレラ
それから数分後には、有栖川さんが言ってたレストランに着いた。
有栖川さんの事前説明のとおり、「ビストロ」は「うっかりすると通り過ぎてしまう」ような、こぢんまりとしたレストランだ。

「お客も少なくて、くつろげるんだ」
「あの・・」と言い淀む私に、有栖川さんは少し私に近づくと、「僕はデートの相手に支払いをさせるような野暮な真似はさせないから。安心して」と囁いた。

「な・・なんで分かった・・・んですか。ていうか、やっぱりこういう所ってお値段も結構するんじゃ・・」
「大丈夫だよ。ここは“ビストロ”って名前の通り、高いものは出てこない。でも良質な食材を使ってるから美味しいよ。きっと見上さんも満足するって」
「そ、そうですか・・?」

すでに「晩ごはんは食べて帰る」と両親に連絡してしまったし。
今ここでゴチャゴチャ考えても・・・しょうがないか。
諦めがついた私は、有栖川さんに伴われて「ビストロ」に入っていった。

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