純情シンデレラ
「どうだい?乗り心地は」
「久しぶりですけど、大丈夫です」

ただ、今回も有栖川さんがオープンカーで会社に迎えに来てくれて、そのときちょうど得意先から戻ってきた松本さんに“目撃”されてしまったから・・・。
松本さんと目が合ってしまったとき、つい私は視線をそらしてしまった。
これじゃあまるで、私がコソコソ隠れて悪事を働いているみたいじゃない!
でも私はそんなこと、断じてしてないんだから・・・“後ろめたさ”なんて感じる必要、ないのに・・。

それでも私は、乗用車恐怖症を克服しようとしていることや、そのために有栖川さんが協力してくれていることを、松本さんに話さなかった。
松本さんだけじゃなくて、事情を知らない素子さんや宇都宮さんにも話してないし、会社の人たちには、もちろん話す必要はないから、話してない。
そして事情を知ってる両親にも、このことはまだ話していない。
全てを克服したときが話す時だと思うから、それまでは誰にも話さないと決めたんだ。

< 281 / 530 >

この作品をシェア

pagetop