純情シンデレラ
数時間後。
参列に来てくださった方々に食事や飲み物をふるまうために、私は姫路邸でお手伝いをしている高知さんと一緒に台所に立っていた。

「あなたはあゆ子のお別れのためにわざわざ来てくれたんだから、ここまでしてくれなくてもいいのよ」と、姫路さんのお母さんからは言われたけれど、部屋にずっといるより、台所と部屋を忙しく行き来している方が、悲しみが和らぐ気がするし、つるかめ食堂で長年給仕の手伝いをしている経験も活かされる。
何より、これが私らしいお手伝いになると思うので、差し支えなければお手伝いをさせてほしいと最後は願い出ると、姫路さんのお母さんと高知さんは、快く了承してくれた。

姫路さんのお母さんが、表舞台(部屋)で応対に専念している間、私は裏(台所)で、高知さんが語る姫路さんとの思い出を静かに聞きながら、二人とも手はしっかりと動かしていた。

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