純情シンデレラ
私たちは、お猪口で熱燗を飲みながら、静かな空間を共有して、時折思い出したように、ぽつりぽつりと話をした。

「・・・そう言えば。昨日になるのかな。今朝起きたら覚えていたから。夢を見たんですよ。とっても・・奇妙な夢でした」
「どんな」
「赤いワンピースを着こなした、普段どおりの元気そうな―――会社で見かけたときみたいなって意味です―――姫路さんが、病院のベッドに寝ている意識不明の7歳の私に、話しかけてる夢でした。普段はカラーとか白黒だったとか、内容すらほとんど覚えていないか、起きたら忘れてるんですけどね、でも昨日の夢は、赤いワンピースの色がとっても鮮明だったことだけは、よく覚えています」
「赤か・・。それは、姫路はあの世で元気にやってるという意味だろうな」
「え!そうなんですか?」

驚き一杯の顔で、まじまじと仰ぎ見る私に、松本さんは「ああ」と言いながら、ニコッと笑った。

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