純情シンデレラ
「松本さん」
「ん?」
「あの・・。どうして・・」
「なんだ」
「どうして大みそかの日、食堂に来なかったんですか」と思いきって聞いてみたのは、列車に“揺られて”優に1時間以上は経った頃だった。

元々私はおしゃべりなタイプじゃないし、松本さんとの沈黙を苦痛に感じてもいないから、「何か話さなきゃ!」と焦ってもいなかった。
だから満員電車の中で別に無理して会話をする必要はないし、松本さんだってそのあたりは理解してくれているはずだ。
ただ、この内容を会話に選んだのは、私の中で膨らんでいた“疑惑”を、一刻も早く打ち消したかったからに過ぎない。

それだけに、そっけなく「行ったさ」という松本さんの返答を聞いて、私はビックリした。

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