純情シンデレラ
「わたし・・・有栖川さんとは大みそかのあの日以来、会ってません。有栖川さんは、フランスに帰・・・行くと・・だから、あのときあなたが見たのは、別れの抱擁で、あれからすぐに待たせていたタクシーに乗って、空港へ行って・・うぅっ。ど、どうして何も聞かずに一人で勝手に早合点して行ってしまったの?連絡くらいしてくれても、良かったでしょう?・・・私、有栖川さんのことは友人として好きだし、有栖川さんだって、私のことを恋人として見てはいなかったのに。一度も。全然、全くよ!」

メガネを外した私は、泣きながら松本さんの胸板をグーでポカポカと叩いた。
でも、この人は頑丈な体つきをしているから、非力な私がいくらパンチを叩いても(厚手の手袋はしたままだけど)、全く動じない。
思ったとおりだったな。

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