失恋相手が恋人です
「に、丹羽沙穂です。
私の方こそよろしくお願いしますっ」
またまた頭を下げる私。
「えーっ。
そんな畏まらないで。
沙穂ちゃんって呼んでいい?」
少し困ったように先輩が言う。
「あ、はい。
楠木先輩……」
「やだ、楠木先輩だなんて。もっと、くだけてくれていいから。
私は沙穂ちゃんって名前で呼ばせてもらってるし、沙穂ちゃんも歩美とか呼んでくれていいよ」
「えっと、さすがにそれは……
じゃあ、歩美先輩で」
「何か釈然としないけれど、まぁ、いいわ」
と、またニコッと笑う歩美先輩。
「せ、先輩はいつも本館にいらっしゃるんですか?」
「うん。
っていっても大体私、この辺りにいるの」
「この辺り?」
「この辺り」
そう言って先輩は私たちの真後ろにあるベンチを指差した。
「私の担当教授が課題好きで。
有り難いことだし、優しい先生なんだけど……難しかったり考え込む時は出来るだけ外に出て考えてるの。
教室の中だと煮詰まりそうで。
その方が閃いたりするのよ。
まぁ、さすがに今の季節は暑くて厳しいけど、少しの時間ならいいかなあと思って。
それでさっきも考えこんでいたから、沙穂ちゃんにぶつかっちゃったの」
ごめんね、とペロッと舌を出す歩美先輩はすごく可愛くて。
「春はここ、すごく綺麗なんだよ。
ほら、あの辺りに生えてる木は全部桜の木なの」
言われて周りを見回す。
確かに今は激しいくらいの蝉の音が鳴り響いているけれど、元気な葉を広げた木々がベンチを取り囲んでいた。
私の方こそよろしくお願いしますっ」
またまた頭を下げる私。
「えーっ。
そんな畏まらないで。
沙穂ちゃんって呼んでいい?」
少し困ったように先輩が言う。
「あ、はい。
楠木先輩……」
「やだ、楠木先輩だなんて。もっと、くだけてくれていいから。
私は沙穂ちゃんって名前で呼ばせてもらってるし、沙穂ちゃんも歩美とか呼んでくれていいよ」
「えっと、さすがにそれは……
じゃあ、歩美先輩で」
「何か釈然としないけれど、まぁ、いいわ」
と、またニコッと笑う歩美先輩。
「せ、先輩はいつも本館にいらっしゃるんですか?」
「うん。
っていっても大体私、この辺りにいるの」
「この辺り?」
「この辺り」
そう言って先輩は私たちの真後ろにあるベンチを指差した。
「私の担当教授が課題好きで。
有り難いことだし、優しい先生なんだけど……難しかったり考え込む時は出来るだけ外に出て考えてるの。
教室の中だと煮詰まりそうで。
その方が閃いたりするのよ。
まぁ、さすがに今の季節は暑くて厳しいけど、少しの時間ならいいかなあと思って。
それでさっきも考えこんでいたから、沙穂ちゃんにぶつかっちゃったの」
ごめんね、とペロッと舌を出す歩美先輩はすごく可愛くて。
「春はここ、すごく綺麗なんだよ。
ほら、あの辺りに生えてる木は全部桜の木なの」
言われて周りを見回す。
確かに今は激しいくらいの蝉の音が鳴り響いているけれど、元気な葉を広げた木々がベンチを取り囲んでいた。