失恋相手が恋人です
マンション前まで送ってくれて。

「お、送ってくれてありがとうっ。
か、片付いてないけど、良かったら……」

できるだけさりげなく、を努めて言う。

でも真っ赤になった顔は隠しきれてなくて。

「……大丈夫、今日は帰るから」

と、私の言葉を最後まで聞かずに苦笑した葵くん。

私はちょっとホッとしたようなガッカリしたような気分で。

それが顔に出てたのか。

「今度はお邪魔させて」

と、笑われた。

さっきみたいに、ポンポンと頭を撫でられて。

彼はやっぱり笑いながら帰っていった。



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