失恋相手が恋人です
「……よかったじゃない、何よ、心配して損したわ」

ベッドに腰かけてジロッと私を見る萌恵。

私は今、先に帰ったあの日の一部始終を話し終えて、自宅で萌恵に怒られている……。

「桧山くんが沙穂を強引に引っ張っていったから心配したのにっ。
電話もしたのにっ。
大丈夫だよ、ってメールだけってひどくない?」

再びジロッと私を見る萌恵。

「ご、ごめんね、萌恵。
でも本当に私自身もよくわからないというか信じられないというか……。
葵くんが帰ってからもぼうっとしちゃって」

「へえぇ、三日もぼうっとしてたの?」

「……ごめんってば、心配してくれてるのはわかってたんだけど、うまく言えなくて……」

「何がよ?」

若干、怒りがおさまったのかトーンダウンした声で萌恵が聞いた。

「……うん、付き合おうって言われて嬉しくて。
でも、これでいいのかなってすぐ悩んで。
勝手だってわかってるんだけど、ズルいって思うんだけど本当のことを言えなくて。
……そのくせ、やっぱり傍にいたくて」

話しながらどんどん整理されていく私の気持ち。

「やっぱり……好きなんだよ」

ああ、やっぱり。

私は葵くんを諦めることができない。

「ウジウジ悩むくらいなら、勝手に落ち込むくらいなら打ち明けるべきだってわかってるんだよ……」

「……そんなに難しく考えなくていいんじゃないの?」

優しく萌恵が言う。
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