失恋相手が恋人です
「確かにいつもここは混雑しているけれど。
でも今日は圧倒的に女子が多いでしょ?」

面白そうな表情の萌恵に言われて、反射的に周囲を見渡す私。

「本当……、何で?」

「さっきまで桧山君がいたから」

ドクン……

その名前に私の鼓動がひとつ、大きく響く。

「どうやら桧山君も私と同じ講義を受講していたみたいで。
休講になったこと、きっと知らなかったのね。
一人であっちの席に座ってたの」

今は空席になっている奥まった席を指差す萌恵。

その指には萌恵のイメージにピッタリなピンクのジェルネイルが施されている。

「いつもはなかなか姿を見かけないでしょ?
女子達がいつの間にか、集まってきていてビックリだったわ」

「そうなんだ……」

名前を聞いただけで意識するなんて。

私のことすら知らない人に。






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