失恋相手が恋人です
「……今でも好きなのね」
静かに一言、歩美先輩が言った。
私は一瞬、ハッとして、下を向いて頷いた。
パタパタと真っ白なテーブルクロスに涙の染みができる。
「歩美先輩、桧山くんの連絡先、ご存知ですか?」
今まで黙っていた萌恵が、私をチラッと見て言った。
「……ごめんなさい。
知らないの、本当に。
正樹は知っていたみたいなんだけど、正樹が帰国後、連絡がつかなくなっちゃったみたいで。
葵くんも部署を異動したのかもしれないわ……あ、でも会社に電話したら、もしかしたらわかるかもしれない。
正樹に言ってみる。
何かわかったら連絡するわ」
キッパリ言い切る歩美先輩に私が口を開こうとした時。
萌恵が私の肩に手を置いた。
「今更、連絡なんてって、話せない、話す資格はないとか思ってない?
……沙穂、あれから四年経ったんだよ。
四年だよ?
お互いに社会人になって大人になったの。
笑って話せなくても近況を尋ねるだけでもできるでしょ?
……何よりきちんと気持ちに決別しなくちゃ、前に進めないよ?」
「……そうね、萌恵ちゃんの言う通り。
私が口を挟む立場ではないって思うけれど……。
一方的に別れを告げて、それでもなお、気持ちが残っているなら話すことも一つだと思うわ。
きちんと話したら何か変わるんじゃない?
今のままだと沙穂ちゃんはずっと自分を責めたまま、自分の気持ちに見ないふりをし続けて前に進めないんじゃない?」
「……葵くん、怒ってないと思うよ?」
何も言えない私に萌恵が優しく言う。
「……ただ、悲しかったんじゃないかな、もし私が吏人に同じようにいきなり謝られて、別れを告げられて、消息を絶たれたら本当に悲しいもん」
「萌恵……」
「あの頃の沙穂は、本当に痛々しくて見ていられなかったし、私が何言ってもきっと聞き入れてもらえないだろうなと思って言わなかったんだけど」
少し申し訳なさそうな表情を浮かべる萌恵。
「連絡先がわかるかどうか、そもそも東堂先輩に聞かなきゃわからないのだし、しばらく考えてみたら?」
諭すような萌恵の声に、萌恵がどれだけ私を心配してくれているのかが伝わってきて私はただ頷いた。
静かに一言、歩美先輩が言った。
私は一瞬、ハッとして、下を向いて頷いた。
パタパタと真っ白なテーブルクロスに涙の染みができる。
「歩美先輩、桧山くんの連絡先、ご存知ですか?」
今まで黙っていた萌恵が、私をチラッと見て言った。
「……ごめんなさい。
知らないの、本当に。
正樹は知っていたみたいなんだけど、正樹が帰国後、連絡がつかなくなっちゃったみたいで。
葵くんも部署を異動したのかもしれないわ……あ、でも会社に電話したら、もしかしたらわかるかもしれない。
正樹に言ってみる。
何かわかったら連絡するわ」
キッパリ言い切る歩美先輩に私が口を開こうとした時。
萌恵が私の肩に手を置いた。
「今更、連絡なんてって、話せない、話す資格はないとか思ってない?
……沙穂、あれから四年経ったんだよ。
四年だよ?
お互いに社会人になって大人になったの。
笑って話せなくても近況を尋ねるだけでもできるでしょ?
……何よりきちんと気持ちに決別しなくちゃ、前に進めないよ?」
「……そうね、萌恵ちゃんの言う通り。
私が口を挟む立場ではないって思うけれど……。
一方的に別れを告げて、それでもなお、気持ちが残っているなら話すことも一つだと思うわ。
きちんと話したら何か変わるんじゃない?
今のままだと沙穂ちゃんはずっと自分を責めたまま、自分の気持ちに見ないふりをし続けて前に進めないんじゃない?」
「……葵くん、怒ってないと思うよ?」
何も言えない私に萌恵が優しく言う。
「……ただ、悲しかったんじゃないかな、もし私が吏人に同じようにいきなり謝られて、別れを告げられて、消息を絶たれたら本当に悲しいもん」
「萌恵……」
「あの頃の沙穂は、本当に痛々しくて見ていられなかったし、私が何言ってもきっと聞き入れてもらえないだろうなと思って言わなかったんだけど」
少し申し訳なさそうな表情を浮かべる萌恵。
「連絡先がわかるかどうか、そもそも東堂先輩に聞かなきゃわからないのだし、しばらく考えてみたら?」
諭すような萌恵の声に、萌恵がどれだけ私を心配してくれているのかが伝わってきて私はただ頷いた。