失恋相手が恋人です
話が一段落して、三人でたくさん食べて飲んで、私達はそれぞれ帰路についた。
帰りの電車が同じ方向の萌恵と私は二人で並んでホームに立っていた。
「……そろそろ桧山くんへの気持ちの蓋、開けなよ?」
日中よりも随分涼しい風と共に電車がホームに滑り込む。
私はすぐには返事ができずに、曖昧に微笑んだ。
萌恵と別れて一人、駅からの帰り道。
私は歩美先輩と萌恵に言われたことを思い出していた。
気持ちに蓋をし続けていたこと、そんな私の様子に萌恵が気づいていたこと。
私が思っていた以上に萌恵が私を心配してくれていたこと。
自分が謝罪することだけに精一杯で葵くんの気持ちを全然考えなかった、あの日。
歩美先輩とのことを誤解していたこともあるけれど、渡米前に待っててほしいと言ってくれた葵くんに一方的に別れを告げて。
私は本当に葵くんに酷いことをした。
傷つけたいわけではなかったのに。
ただ、傍にいたかった、その笑顔を温もりを感じたかっただけなのに。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
もしも再会したら、を考えなかったわけではないけれど。
話せる可能性を考えなかったわけではないけれど。
いつも逃げて諦めていた。
向き合うことが恐くて。
傷つけ、騙していたことが申し訳なくて。
でも何より誰より大好きで大切で。
……ずっと忘れられずにいた気持ちをもう外に出してあげるべきなのかもしれない。
街灯に照らされたアスファルトを見つめながら私は歩き続けた。
帰りの電車が同じ方向の萌恵と私は二人で並んでホームに立っていた。
「……そろそろ桧山くんへの気持ちの蓋、開けなよ?」
日中よりも随分涼しい風と共に電車がホームに滑り込む。
私はすぐには返事ができずに、曖昧に微笑んだ。
萌恵と別れて一人、駅からの帰り道。
私は歩美先輩と萌恵に言われたことを思い出していた。
気持ちに蓋をし続けていたこと、そんな私の様子に萌恵が気づいていたこと。
私が思っていた以上に萌恵が私を心配してくれていたこと。
自分が謝罪することだけに精一杯で葵くんの気持ちを全然考えなかった、あの日。
歩美先輩とのことを誤解していたこともあるけれど、渡米前に待っててほしいと言ってくれた葵くんに一方的に別れを告げて。
私は本当に葵くんに酷いことをした。
傷つけたいわけではなかったのに。
ただ、傍にいたかった、その笑顔を温もりを感じたかっただけなのに。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
もしも再会したら、を考えなかったわけではないけれど。
話せる可能性を考えなかったわけではないけれど。
いつも逃げて諦めていた。
向き合うことが恐くて。
傷つけ、騙していたことが申し訳なくて。
でも何より誰より大好きで大切で。
……ずっと忘れられずにいた気持ちをもう外に出してあげるべきなのかもしれない。
街灯に照らされたアスファルトを見つめながら私は歩き続けた。