爆走姉貴ー星路の苦悩ー
俺は必死でポッキーをかみ砕いた。
自分を奮い起こさないとな。


あくまで美鈴との幸せの為に、その勉強に、講義に来たんだ!




「あ、リンちゃん来た」
「マジ?!」


雅治の声に、身を乗り出す拓也。

こいつらはリンちゃんという女に興味があるのに対し、俺は違う。


真面目な話をしに来たんだ。


キャバクラで真面目な話と言われても納得できないだろうが、俺はそうなんだ!




うつむき、必死でポッキーをかみ砕く俺の耳に近付いてくる、軽快なヒールの足音。

それは、俺達のテーブルの前で止まった。



「あ〜!テツちゃん来てくれたぁ」




……………。





「来るって言ってたじゃん、俺」
「だってなかなか来ないからぁ〜!リンフラれたのかと思ったぁ」




………………。

うつむいた俺の耳に響く、リンちゃんの明るい声。

猫撫で声…。



いや………リンちゃんの?




「なかなかって、三日しか経ってないよ?」
「そ?待ち遠しかったから、長く感じたのかも」



雅治と拓也の間に座るリンちゃん。

ふわりと鼻をかすめる、ジャンヌ・アルテスのスルタンの香り…。
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