爆走姉貴ー星路の苦悩ー
「ねぇ、早く〜」


急かす美月。
その指先は、テーブルを小刻みに叩いている。


あれは…イライラしている時の美月の癖だ!

やべぇ!
マジで俺ピンチっ!!



「あ〜…俺の姉は…」

声が震える!

「姉は…美月と言いまして…」

落ち着け、俺!



「…それはそれは素晴らしい姉でございます」
「は?何言ってんだ?お前いつも…」
「黙っててくれっ!」


俺の命がかかってんだからさ!



「美月様は女神の様な美しい方で、彼女が歩いた道は花が咲き乱れ、小鳥は唄い…」
「星路?目の焦点が合ってないけど?」
「この世に生を受けた事自体、潤いと光を注ぐ為でございまして…」
「おい…」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし…」



言い終えた俺は、そのままソファに倒れた!

呼吸が詰まる!



「星路?どうした?」
「やべっ!目が白目向いてる?!」



どうだ…俺は言ったぞ。
危機を乗り越えたんだっ!


これで満足かっ!美月!
俺にとっては虚偽だが、お前が求めている答えは言ったぞ!




「ひどいっ!星路くん!」
「えぇっ?!」
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