爆走姉貴ー星路の苦悩ー
仕方無いなぁと美月は溜め息をつき、細い腰に手をあてる。


仕方無いって何だよ。





「この目立ちたがりは、ヘタレくん」
「ちゃんと紹介しろよっ!」


ヘタレじゃねぇし!


「もう!いちいち注文がうるさいなぁ」
「美月が言うな!」
「そこまで目立ちたいなんて…いやらしい」


いやらしい?!
新しい罵倒が出たぁっ!



「そうだぞ、星路。話がすすまないじゃないか」


その話が納得できないから言ってるんだけどね?!


「そうっすよ、ここは姉さんを立てて」


蔵野さんにまで言われた!

つかあなた、もうファミリーの一員顔ですか?!






「…………星路…?」



へ?





騒がしいテーブルに、蚊の鳴く様な細い声。


誰?






見回すと、みんなが新人の女の子を見つめている。



「何だ?」
「星路…」




拓也が、驚愕の表情で俺へと視線を移す。



「あれ…見ろよ」



差された拓也の指先、その先には美月の隣に立つ新人の女の子。

まっすぐに俺を見つめる女の子。


目が合った途端、俺の身体は硬直した。









「…………美鈴?」
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