こじれた恋の終わらせ方
「お仕事は何をされているんですか?」


「えーっと、家具を作っています。」


津田さんに聞かれてそう答えると、津田さんの眉間にしわが寄った。



「木を削ったりそういうことですか?」


そう聞かれ、誤解をあたえたのだと気づいてあわてて弁解した。


「違います。家具のデザインや設計をしているんです。」



「ちなみに、会社名をうかがっても?」



「美濃屋家具です。」


「ふーん。」


津田さんはどうでもよいと言ったふうにコーヒーを飲んだ。



自分から聞いといて失礼な態度だと思う。


私の勤める美濃屋家具は小さい家具メーカーだ。


社員も少ないため、やらなければならない仕事も多い。


どんな仕事をしていますか?と聞かれても一言では答えられない。


しかし、興味がないなら聞かなければいいのにと思う。



まぁ、でも興味がなくても何か聞かなければならないのがお見合いなのかもしれない。



「じゃあ、結婚したら、仕事はやめるんですよね?」


「は?」


その『じゃあ』はどこからきた『じゃあ』?



「だって、あなたはいずれ九条病院の院長夫人になるんでしょう?

 だったら、たいして大きくもない家具屋でちまちま働いてるなんて格好がつかないでしょう?」


さも当然のように言う津田さんに私は言葉を失った。


「大体、何で九条病院のお嬢さんがそんなことろに・・・」



「実家は関係ありません!私は今の仕事が楽しいんです!!」



あまりにも勝手な言いように思わず声を荒げた。

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