ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
私には綾己との時間すべて、事故の日も含めて…
過去にはしない。
過去にしてしまったら 綾己との時間が薄れていく…
そんなの耐えられない。
憂臣、あなただけは…
許さないっ
二人歩きながら 私は家まで半分の距離に来たところで、憂臣に言った。
「 藍沢くん、ここでいいよ。私、用事あるからここでいい、ありがとう 」
「 え、そう?じゃあ、また… あ!メアド教えて 」
「 メアド?それなら逆に教えてくれる? 」
私が言うと 携帯片手にメアドを素直に教えてくれる憂臣。
私は自分の携帯に入力するように見せかけていた。
気づかれないように すぐさま立ち去る。
「 また 学校で 」
「 メールしろよ!里桜っ 」
私は見送る憂臣には振り返らなかった。
憂臣は私を見つめていたが、私の視線はまっすぐ前を向いている。
心は冷たいまま…