ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
私が探していたのは、物でなく人。
倖村 綾己…
彼は先生であり、私の好きな人であり、恋人だった。
綾己と出会ったのは高校入学式の朝…
綾己も先生になった初の赴任で初登校だった。
ありきたり事情で私はギリギリの登校、緊張からトイレに駆け込んだ。
綾己はパリッとスーツを着こなし トイレ前を横切った時、出てきた私とぶつかったのが出会いのキッカケ。
綾己の言葉たちを忘れられない…
「 君… 新入生? 俺も先生1年生なんだ、倖村 綾己、よろしくな 」
ぶつかったあげく二人して転んだトイレ前。
なのに、ヘラッと笑みを見せながら言う綾己に私は一目惚れした。
「 あの… 先生も1年生なら、1年生の私とお付き合い、してください… 」
私はすぐに告白した。
「 …あははっ!参った、君は変わってるな… 会ったばっかりなのに。意外と秘密は好きな方だよ 」
綾己は何にも考えていないように見えたが、それでも 綾己との出会いは運命だと感じた。
綾己は先生は真面目だと思わせたくて、ダテ眼鏡をしていた。
でも、その眼鏡を私にはめて言った。
「 あげる、可愛いのをこれで隠してなさい。で、君の名前は?」
「 お、奥瀬… 里桜、です… 」
「 奥瀬 里桜さん、トイレ前でお付き合いしてとは なんの縁だろうな?まぁ、気に入ったから いいよ、付き合おうか 」
やっぱり笑顔で返事した綾己に私も笑った。